ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

IBMのLiberty加盟



IBMのLiberty加盟によってWS-FederationとLiberty Allianceという二つの
分散型シングルサインオンアーキテクチャ仕様の対立が解消されるかも知れま
せん。昨年WS-Federationが発表された際には仕様分裂の危険性が叫ばれまし
た。その後、Liberty仕様を採用する事例が相次ぎ、IBM自身も大手顧客案件
ではLiberty仕様に基づく実装を行っていました。


ところが、WS-Federationがなくなってしまうかというとそういうことでも
ないらしく、IBMとしては「WS-FederationにLibertyの要素を取り込む」と
いうスタンスを取るようです。確かに両仕様ともSAMLによる記述を用いてい
たりしますし、WS-Federation自体はかなりベースに近い仕様ですから、そ
うしたことも可能かも知れません。


むしろ、この一連の動きでマイナスの影響を受けているのはMicrosoftです。
同社もWS-Federation支持企業の1社でしたが、同社が推進する.NET Passport
はなかなか普及せず、IBMのLiberty加盟とほぼ同じタイミングで事業縮小の
ニュースが報じられました。元々分散型のLibertyに対し、.NET Passportは
中央集権型とも言える構造で、情報が一箇所に集中してしまうことによるセキ
ュリティ面の問題が指摘されていました。実像以上に.NET Passportが囲い込
みを狙ったMicrosoftの戦略であるという印象が流布してしまった感もありま
すが、.NET Passportは普及しないだろうというのが大方の見方だったようです。


いずれにしても今後はLiberty準拠を心がけていれば何とかなりそうです。
WEBサービス関連では他にもまだまだ分裂しそうな仕様がゴロゴロしている
わけですが、早く収束していって欲しいものです。