ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

salesforce.comの日本展開



USなどでは好業績をあげているsalesforce.comが日本においても
活発な展開を開始しているようです。「ASP」というキーワードで
考えると、日本ではその言葉を聞いただけで 過去の失敗から拒否
反応を起してしまうケースもあるようですが、salesforce.comの
サービスの核心は「オンデマンドサービス体系による敷居の低さ」
にあるように思います。


CRMにおいては「サイトを落とさない」ということはとても重要な
ポイントですので トラブルに強いノンストップのサイトを安価に
構築したいという動機だけでもASPサービスを検討する価値はあり
ます。ですが、そもそもCRMサイトを立ち上げること自体に対して
導入効果が不透明であるという不安の方が先に立ちます。


salesforce.comの場合はそこに利用状況に応じたオンデマンドな
課金体系を提示することで導入時の敷居を下げたことが成功要因
の一つではないかと捉えています。


そう考えると、CRMに限らず同様のサービスを展開できそうな分野
が他にもありそうです。特に「オンデマンド」ということを 「従
量課金」よりももっと広げ、オートノミックや仮想化を駆使した
「オンデマンド」まで含めて考えてみると 適用できる分野も広が
ってきそうです。


例えば、今後BPMが発展し、社内のビジネスプロセスやドキュメント
形式がXMLをベースにし統一された状況ができたとします。社内の情
報流通は統一されたものになりますが 社外とのやりとりではどうし
ても「データ変換」「フォーマット変換」の必要が出てきます。 こ
れらの変換処理は
・停止することは許されない
・高いパフォーマンスを要求される
・業務の状況に応じて必要なキャパシティが大きく変動する
といった特性を持つはずです。
こうした変換処理のためのシステムを社内に持つのではなく、社外
のサービスを利用することで、「業績が絶好調で大量の取引が発生
した矢先に受発注処理が停止してしまった」というリスクを回避す
ることができます。 IP-VPNやIPセントレックスといったようなネ
ットワークインフラのレイヤーではそうしたことは既に行なわれて
いますが、「データのプレゼンテーション層」ともいえる部分にお
いても、オンデマンドのニーズに応える形で「サービス化」が進む
可能性もゼロではないと思います。


そう考えると、EAIやESBの分野ではプラットフォームベンダーが
相次いで参入し、「製品」という観点では単独のメーカーが生き
残るのは難しい状況になっていますが、オンデマンドと結びつけ
た「データコンバージョンサービス」を展開し salesforce.com
と同じような成功を収める会社が出てくると面白いかな、なんて
思ったりしています。