IBMがGluecodeを買収したことによって、APサーバーのオープン
ソース化の波が促進されていくような気がします。JBOSSの台頭
以来、LinuxなどのOSに続いてAPサーバーのレイヤーにおいても
オープンソース化が進むのではという予感は誰しもが抱いたこと
ですが、それが現実のものになりつつあるようです。
IBMの今後の動きから、同社がEclipseに対して取った路線を連想
する方は少なくないと思います。 Eclipseの場合は寄贈という形で
買収とは逆の動きではありますが、目指しているゴールは同じで
あるように思います。つまり、コアの部分はオープンソースとして
解放して広がりを持たせておきつつ、その上に付加価値を加えて
差別化するというものです。
EclipseとIBM Software Development Platformとの間の関係と
同じことが、GeronimoとGlucode SEとの間に築かれるのではないか
と思われます。
日本でもサイボウズガルーン2がPHPベースとなり、コアテクノロジー
にオープンソースを採用しました。Seasarのような先進的なAOPコンテナ
も登場してきています。 これらはいわゆるAPサーバーとは若干異なり、
サーバーサイドのスクリプト開発言語であったり、AOPコンテナであったり
はします。ですが、サーバーサイドのミドルウエアという大きな括りで
まとめて考えれば国内でもAPサーバー周辺のオープンソース化の波は
近づいているといえるでしょう。
OSからAPサーバーへとオープンソース化の波は徐々に上位にシフト
してきています。次にオープンソース化の波がくるのは、サーバー
サイドのミドルウエアのうち、オープンソース化の効果が出やすい
部分、つまりはソースレベルの連携が求められる部分です。
その観点で真っ先に思い浮かぶのは「ポータル」です。種々雑多な
情報を集約するためには、どうしてもソースコードレベルでの
インテグレーションが必要になってきます。
つい先日、JBOSS PortalのRC版がリリースされました。今後も
JBOSSはJEMSという統一ブランドの元でAPサーバー上で動作する
種々の業務プラットフォームを提供する方針を明言しています。
Portalに関しては既にJetSpeedなどのオープンソースのプロダクト
が存在していますが、JBOSSやIBMといったAPサーバーベンダーが
参加することで、オープンソース化が促進されるのではないかと予想
しています。実際、GluecodeはJSR168のリファレンス実装である
Plutoをベースにしたポータル機能に関するテクノロジも有しています。
IBMとしては中堅以下のミドルウエア&企業向けプラットフォーム市場
をJBOSSが握ってしまうことを防ぐための布石として、APサーバー
だけでなく、DerbyやPlutoといった他のApacheプロジェクトにも精通
したGluecodeに白羽の矢を立てたのではないかと推測しています。
いずれにしてもオープンソース化の波が徐々に上位レイヤに浸透
していく傾向は今後しばらくは続くと予想しています。単に標準
への準拠やカスタマイズのしやすさだけでは差別化が難しくなっ
てきます。商用プロダクトのベンダーにとっては自社製品を如何
に差別化するかという点である意味厳しい時代に入ってきている
といえるかと思います。頑張らないといけないですね(^_^)