Macromediaが「Zorn」というEclipseベースのFlash開発
プラットフォームをアナウンスしているのをご存知の方
は多いかと思います。
以前に「Partridge」というコードネームで報じられて、
その後消えてしまったEclipseベースのFlex用GUIビルダー
が再登場しただけだと思っていましたが、どうもそれだけ
ではないようです。
お世話になっている須賀さんのBlogに書かれていますが、
(http://blog.thebadtiming.com/archives/002332.htm)
Zornプロジェクトを指揮するのは、MicrosoftでASP.NETの
生みの親の一人と言われていた Mark Andersという方だそ
うです。(昨年の秋の時点では既に移籍していたようです)
そうした人物がMacromediaに移籍して Flashの開発環境の
刷新に取り組むらしいということで、あらためて「Zorn」と
周辺の動きについて考えてみました。
AdobeとMacromediaの合併が今秋に無事に完了したと仮定します。
Adobeとしては閲覧系はAcrobat Readerを通じて、マルチメディア
も含めたインタラクションを伴うものはFlash Playerを通じて、
それら二つで今後のインターネット上の情報流通におけるプラット
フォームをあわよくば制覇したいと考えているはずです。
PDFについてはほぼ覇権が完了しており、競合になりかけていた
Flash Paperは買収によって吸収済みですし、MSのMetroは現段階
ではLongHornとセットなのでもう少し先の話です。ということで
今のポジショニングがすぐに覆される心配はなさそうです。
ですが、インタラクションを伴う方についてはそうもいきません。
WEBコントロールを駆使したASP.NETは中規模以下のエンタープライズ
用途では根強いですし、JavaのJSFも徐々に環境が整いつつあります。
さらにAjaxの登場(再認識)により、手作りのJavaScriptによるGUI作成
も再注目されています。Adobe&Macromediaとしてはこれらの流れを
Flashに収束させたいと考えているはずです。
そうした意図があるとすれば、ここ最近の
・Zornプロジェクトのアナウンス
・Mark Anders氏の起用
・Eclipse Foundationへの参加
といった動きはASP.NETやJSFを意識した動きと捉えられるかと思います。
さらに、これまた須賀さんのBlogにありましたFlash8とFlex2のリーク情報ですが
(http://blog.thebadtiming.com/archives/002334.htm)
そこではXMLの扱いについて強化されていることが触れられています。これもSOAP
XML で非同期通信を行なうAjaxエンジンの存在や、つい最近auがsalesforce.com
と提携してBREWベースでのWEBサービス通信を実現したりしている動きに呼応し、
FlashとFlexの組み合わせでAjaxやBREWで実装するよりも手軽に非同期にデータ更新
ができるGUIフレームワークの提供を目指しているのではないかという気がします。
キーとなるのは「Zorn」プロジェクトがEclipseを利用している開発者層にどれだけ
訴求できるか?という点ではないかと思われます。Flexを足がかりにJava開発者にも
少しずつ浸透しつつあるFlashですが、「Zorn」で提供される一連のツールが既存の
Eclipseプラグイン群とも親和性が高く(例えばCVSによるASのソース管理が手軽にで
きるとか、JUnitみたいなツールも合わせて提供されるなど) また企業システムでの
運用に耐える信頼性と処理スピードをFlexが実現できれば、風向きが大きくFlash側
へ傾く可能性も十分あり得ます。そこで、ASP.NETを通じて開発者のニーズを十分理解
しているMark Anders氏が「Zorn」プロジェクトをリードしていることは大きな意味を
持っているような気がします。