ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

11/10速報&直撃インタビュー



あっという間に最終日です。
セッション速報編
午前中のゼネラルセッションではSimon Phipps氏
などからオープンソースに関する話がありました。
オープンソースとオープンスタンダードの両立が
重要で、どちらか片方だけを実現してもうまくは
いかないということ。それらに「ライセンス」が
加わることでバランスの取れた価値創造ができる
ようになるといった内容だったと捉えています。
また「オープンスタンダード」と「デファクト
スタンダード」という言葉の使い分けについても
今まであまり意識していませんでしたが、かなり
ニュアンスが違ってくるなという気がしました。
今日の話を聴いた後ですと、「デファクトスタン
ダード」の方は何となく独占的で閉鎖的な雰囲気
を醸し出す気がします。「オープン」のつもりで
デファクト」と言ってしまって、あらぬ誤解を
招かないように気をつけないといけないですね。


[JXTA]
以前に「最近はJXTAの話はあまり聞かないですし
今回もセッションはないみたいです」とか言って
思いっきり間違ってしまいました。jxta.orgは
活動も続いていますし、セッションもちゃんと
ありました。Ray Ozzie氏のMicrosoftでの活動
にも注目はしていますし、P2Pへの逆風も一段落
したところで、グループウエアなどのビジネス系
アプリケーションでのP2Pの利用が最注目される
のではないかという気がしています。


[Java SE Embedded]
パズラーの裏セッションなので、ほとんど人は
いないかと思ったのですが、以外と盛況でした。
PC以外の携帯デバイスでの開発は本来はJavaME
の領分ですが、昨今のデバイスの性能の高さを
考えるとJavaSEを搭載しても大丈夫なケースも
あるかも知れないという観点からのセッション
です。JavaSEを使うことでPC向けプログラムを
そのまま流用できたり、開発ツールもそのまま
使えるという利点もあります。面白い指摘だな
と思ったのは、JavaSEを搭載させることにより
対象アプリケーションをブラウザで操作できる
という点です。GUI関連部分を取り去って軽量
にしたJRE(「Headless」と言うそうです) を
載せ、Tomcatなどの上でサーブレットとして
アプリを動かすというアイデアです。
また、javax.commやjava.usbなどの活用に
ついても簡単な紹介がありました。こうした
視点でJavaSEを眺めると、また違った発見が
あるかも知れませんね。


[Create Dynamic Application Profiler]
Tiger上でJMXの機能を使ってプロファイラを
作成しようというセッションです。コード例
をかなり詳細に出してくださっていたので、
具体例での良い勉強になりました。javax.
managementを使ってのMXBeanの作成は馴染み
のあるものでしたが、後半のBCELを使っての
より詳細なプロファイリングの仕組みを入れ
込む手法については初めてでしたので勉強に
なりました。


[Update for Servlet/JSP/JSF]
WEB Tier関連仕様のアップデートをまとめて
紹介してもらえるお得なセッションです。
特にJSPJSFJSTLとELといった、使い方に
よっては衝突を起こしてしまっていた部分の
整合性について大きく改善されていることが
ありがたいです。代表的なものでは
1. JSFページ内にベタ書きしたテキスト
  のレンダリングの順番がおかしくなる
2. forEachなどのJSTLタグの中にoutputText
  などのJSFタグを書くと、JSFタグ内では
  JSTLタグで定義した変数を参照できない
といったことがあります。1.については以前に
このBlogでも取り上げたことのある話題です。
http://d.hatena.ne.jp/dufresne/20050523
また、接頭辞として「$」と「#」の二通りが
あって混乱しやすかったのですが、これも「#」
に統一されるようになります。ELは単独でも
JSRとして定義されるべきではないかとCraig
McClanahan氏は述べていました。


[Java国際化]
メールの送受信などでのJIS X 0208コンバータ
などでは苦労しているので、国際化に関連する
勉強をしたいと思って参加しました。Mustang
では和暦も使えるなど、日本語への配慮は徐々
にではありますが進んできていると思います。
国際化関連でご活躍されている奥津正義氏に
「プロパティファイルをISO-8859-1だけでなく
UTF-8に対応して欲しいです」と言ってみたら、
同感していただいたのでとても嬉しかったです。
リソースバンドルなどで、毎度native2asciiを
実行するのがとても面倒に感じているのですが
XML設定ファイルが一般的になって、文字コード
の縛りがなくなってきている中で何故プロパティ
ファイルはISO-8859-1なのかというのを疑問に
思っていたのですが、それには何か深いワケが
あって、皆が承知の上のことなのかも知れないと
いう恐れ(笑)もあってなかなか聴けませんでした。
native2asciiで変換するのって結構面倒ですよね?(^^)


[Interoperability between JavaEE and .NET]
WEBサービスにおけるJavaEEと.NETとの相互接続に
関連する話題です。接続性を高めたい場合にはRPC
ベースではなく、XMLドキュメントベースで通信を
することがまず重要だということでした。
そういえば昨日のJohn Crupi氏のセッションでも
APIで定義するよりも、XMLスキーマでビジネス
インターフェース及びデータフォーマットを定義
する方が柔軟だし、ビジネスパーソンにも理解を
してもらいやすい」という点が強調されていました。
もちろんXMLを使うことでのオーバーヘッドは多少
あるかも知れませんが、相互接続性や柔軟性、他者
から見たときの理解のしやすさ、といった点では
XMLドキュメントベースでのインターフェースと
データフォーマットが一つのポイントのようです。


[EJB]
Linda DeMichiel氏とGavin King氏が登場する
という豪華セッションです。Hibernateを仕事
でも使っており、常々Gavin Kingという人は
ホントに凄いなぁと思っていましたので、今回
実際にお会いできるのを楽しみにしていました。
会場からの質問も多く、それに対するスピーカー
の回答にも違いが見られたりして、とてもBOF
らしい感じでした。


インタビュー編
[JSFなど]
JSF周辺についてセッション後に吉田豊
とCraig McClanahan氏に尋ねてみました。
Q. JSF2.0以降ではJSPに依存せずにビューを
  作成できるようになりますが、JSPを使う
  ビュー作成とFaceletを使うビュー作成の
  どちらを取るのが良いのでしょうか?
A. どちらか一方が良いということはなく、
  二つの手段を用意するという方向性で
  考えています。
Q. JBOSSの「Seam」のようなフレームワーク
  を提供される予定はありますか?
A. 今のところはないですが、将来のJSFには
  似たような仕組みを入れるのも面白いかも
  知れません。
個人的にはSeamのBijectionという考え方が
使いやすそうに感じています。Backing Bean
のDI的な発想にも近いので、相性も良さそう
です。JSFのさらなる進化に期待が高まります。


[Gavin King氏]
Gavin King氏にお会いすることができました!
ビデオインタビューを観る限りでは、いかにも
天才肌の鋭い雰囲気なので、ちょっと怖いかな
とか思っていたのですが、実際にはとても陽気
で気さくな方でした。
Q. Stateful Session BeanでのExtended
  Persistence Contextの利用はSession
  in Viewパターンと似ている感じですが、
  SFSBのExtended Persistence Contextを
  Session in Viewの代わりと考えることは
  できるのでしょうか?
A. 確かに似ていますが、別物と考えるべきです。
  Session in Viewパターンはリクエスト単位
  での話ですが、Persistence Contextの方は
  もっと長いタイムスパンでデータを保持します。
Q. アプリケーションが同一のテーブルに対して
  異なるインデックスを必要とするような場合に
  インデックスをデータベースではなく、外部に
  持つ方が良いという考え方もありますが、それ
  についてはどうでしょうか?
A. インデックスをデータベースの外に持つという
  ケースもあっていいと思います。
Q. 例えば、JBOSS Tree Cacheにインデックスを
  キャッシュできる仕組みを入れるといったこと
  は予定されていたりしますか?
A. JBOSS Cacheに関してはそういったことは予定
  にはありません。
最後に握手をしていただきました。短い説明書きをして
いただいたメモ張も大切にとっておきたいと思います。


とても勉強になった素晴らしい三日間でした。開催に
尽力されましたスタッフの皆さま(Especially chats
さん^^)、質問に丁寧に応じてくださったスピーカー
の皆さま、役立つ情報を提供してくださったブロガー
仲間の皆さま、その他今回のJavaOneに携わられた
全ての方々に感謝とお礼を申し上げたいと思います。


JavaOneのセッション日程は終了しましたが、速報版
で書ききれなかった内容については自分のために整理
をするという意味も含めて、順次アップしていきたい
と思っています。