ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

第三回フィードビジネスカンファレンス



先週の金曜日には第三回フィードビジネスカンファレンス
に参加してきました。http://www.feedsphere.com
RSSフィードについては単なる新着通知に留まらず、メール
などと並ぶ新しい情報メディアとしての役割やアプリ連携
のためのXMLベースの命令セットのような役割といった多彩
な使い道があるのではないかと考えており、大変注目して
いる技術要素&潮流の一つです。


当日は13:00〜17:00と比較的長時間のタイムテーブルでしたが
どれも内容の充実したセッションばかりで、時間の長さは全く
感じませんでした。以下に参考になったポイントなどを簡単に
まとめておきたいと思います。


RSS市場のオーバービュー
昨年くらいまではフィード関連のプレーヤーはその役割が下記
のように比較的明確になっていたけれども、最近は複数の役割
を同時にこなすプレーヤーが出てきており、今後は複合的かつ
横断的なサービスが増えてくるだろうとのことでした。
フィード生成支援: ルートコミュニケーションズ
フィード集約:   Technorati
フィード広告:   Pheedo/RSS広告社
リーダー:     glucose/feed path
マーケティング:  D4DR
付加価値配信:   MyRSS/Feedburner
※上記の役割がオーバーラップして広がってきている


・Full or Partial Feed?
FeedBurnerのCOOであるSteve Olechowski氏によるUSの最新
事情に関するセッションでしたが、その中の『フィード内に全
コンテンツを含んでいる方が部分的にしか含んでいないもの
よりも購読率は10倍良い』というデータが特に印象的でした。
フィードが単なる新着通知ではなく、独立したメディアとしての
役割を担いつつあることの一つの現れではないかと思っています。    
またRSSリーダーの数は日々増えていますが、過去にGoogleRSS
リーダー市場に参入した際にもブラウザで起きたような淘汰&収束
は起こらなかったことを引き合いに出し、IE7以降についても同様
の拡散傾向が続くだろうとの見通しが語られました。


Structured Blogging&Microformats
ブログは細かい書式を気にせず誰でも簡単に書けるのが魅力ですが
一方でアフィリエイトや横断検索などをやろうとした場合のデータ
連携をきちんとやろうとするとフリーフォーマットであることが逆
に足かせになってきます。これを改善すべく、メールのTo/From/
Subjectなどと同じようにRSSフィードにもきちんと構造を持たせて、
(Structured Blogging)なおかつXHTMLのタグに特定のclass属性を
指定することでデータの意味付けを行なう(Microformats)といった
試みが行なわれているということでした。DTDXML Schemaで意味
を持たせることも可能ですが、それだとヘビーになりすぎるので、
タグにclass属性を持たせるというライトな方法を採用している点が
特徴的と言えます。実際にユーザーが扱うときには属性ごとの入力枠
を表示してくれるプラグインを提供したり、Microformatsに対応した
アフィリエイト用のコンテンツを自動生成してくれる機能を活用して
自身のブログの中にMicroformatsのコンテンツを張り込んだり等と
いった利用シーンになるだろうとのことです。
AmazonG-Toolsなどがその例です(http://www.goodpic.com/mt/aws/index.html)
個人的にはclass属性のid重複の問題はどう解決するのかな?という
のが気になります。XMLのネームスペースやDNSみたいな感じになる
のかも知れません。そうなるとidの登録管理を行なうレジストリ
必要になってくるような気もします。今後もMicroformatsの動向は
注視しておきたいと思います。


・各社サービス紹介
Technorati/glucose/FeedPath/BlogEngineといったRSS関連の
トップカンパニーの最新プロダクト&サービスを一気に見ることが
できるという非常に豪華なセッションでした。


最後にカンファレンス会場でも紹介されていた下記の二冊のご紹介です。
RSSマーケティングガイド』
(http://home.impress.co.jp/reference/2215.htm)
『Web2.0BOOK』
(http://home.impress.co.jp/reference/2226.htm)
ボクも読んでみましたが、二冊とも大変オススメです。


この二冊で昨今のRSS関連の動向は網羅できるのではないかという
気がします。双方に共通しているのは本文中に豊富な脚注があり
初めての用語が丁寧に解説されています。これまで同分野に馴染み
のなかった人でも読書の流れを妨げられずに読むことができますし
関連URLも書かれているので後々のリファレンス本としてもとても
重宝しそうです。