ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

『ツールキット』としてのEclipse



3/20〜3/23でEclipseCon2006が開催中です。
http://www.eclipsecon.org/2006/Home.do


諸々のニュースは追々触れるとして、ここ最近の
状況を見て思ったのはEclipseはまさに『ツール
キット』になってきているということです。


ここでの『ツールキット』というのは以前のエントリ
で触れた「民主化するイノベーション」という本の中
で述べられているユーザーイノベーションを補助する
ためにメーカーから提供される開発ツールのことです。
http://d.hatena.ne.jp/dufresne/20060220#p1


Eclipseとメーカーとの関わりという意味では当初は
Rational Software Development Platformのように
無償の基盤としてのEclipseとそれに付加価値をつけた
商用開発ツールという関係が多かったように思います。


ですが、昨今ではSalesforce.comがAppExchange用の
開発キットをEclipseに対応させたりといった動きが
見られます。
http://adnsandbox.com/appexchange/updates/


これは無償開発ツールに付加価値をつけて有償の開発ツール
として提供するというスタンスではなく、他のパッケージベ
ンダーやインテグレーターが自社のプロダクトやサービスを
AppExchangeに対応させ、さらに顧客企業のために改善発展
させるための手段を無償で提供するという考え方です。
そういう意味ではAppExchangeという業務アプリ構築&運用
プラットフォームにイノベーションを起こすための手段を
Salesforce.comにとっては第二の顧客ともいえる他ベンダー
やインタグレーターに提供しているわけで、まさにユーザー
イノベーションを活性化させるための『ツールキット』の
役割をEclipseが果たしているといえるかと思います。


今後もベンダー側やサービス提供側が自社のプロダクトや
サービスをベースとしたソリューションを構築・開発する
ためのツールとしてEclipseを選択し、『ツールキット』
を無償で提供するという動きは加速すると思われます。


従来はこの手の「開発キット」は守秘義務などを結んだ上で
それなりの価格で有償提供されていたケースも多く、それを
収益の柱の一つとしているベンダーも少なくありません。
ですが、こうした「無償のツールキット提供によるユーザー
イノベーション」が広まり、イノベーションの芽を利用者に
求める動きが高まれば「開発キット」の商業的な位置付けも
大きく変わってくる可能性があります。


そうした変化をきちんと見据えて、今後のビジネススタイル
を考えていかないといけないなぁと思いました。