ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

MSのYahoo!買収提案



Yahoo!Life」や「Yahoo! Go3.0」
を発表したばかりのYahoo!にとって
この提案は昨年から続く交渉で既に
折り込み済みだったのでしょうか?


日本のようにMy Yahoo!Yahoo!オークション
などの強みもあり、検索利用でもGoogle
何とか対抗できているケースもあります。
検索機能をGoogleにアウトソースしてしまい、
Yahoo!GroupsやYahoo!オークションの土壌を
生かし、SNS的要素を加えたLifeやGo3.0で
勝負するという選択肢も十分にあり得ます。


株主の立場としてはMicrosoftに買収される
ことが望ましいですが、新機軸を打ち出した
ばかりのYahoo!の経営陣や社員は複雑な心境
なのかも知れません。


一方のMicrosoftですが、この買収を単にMSNや
Liveといった一連の戦略でうまく行かなかった
部分をYahoo!で補うという広告戦略の範疇のみ
に限定すべきではないと思います。


MicorosoftはSilverlightのようにIEに限定されない
Webテクノロジーを推進していますが、どうしても
ベンダーロックインのイメージが強く、それが同社
のプラットフォーム戦略の足を引っ張っているように
常々感じます。そこで、YUIのようなある程度市民権
のあるツールと一緒にして、Yahoo!ブランドの方から
アピールしていけば、同社のWeb関連技術の草の根の
普及にも大きく寄与するはずです。


もう一つはクライアントサイドでのテクノロジー
強化です。


MyYahoo!は買収したKonfabulatorによるインストール型
Widgetを利用しています。Webで完結するiGoogleとは
対照的ですが、それだけ高度な連携ができます。
少々逆説的ではありますが、Webのエクスペリエンスを
今以上に向上させようとすれば、デスクトップ環境との
インタラクションは必須です。そこでOSをがっちりと
握っているMicrosoftがMyYahoo!のWidgetVistaのGadget
と統合すれば、スタートページやパーソナライズドポータル
の新たな形態も見えてくるような気がします。


検索についても、近い将来はインターネットだけでなく
クライアントPC内や家庭用のホームサーバー、企業内
のファイルサーバーといった複数のレポジトリに対し
横断的に検索をかける必要が生じてくるはずです。
そこで重要なのはアグリゲーターの役割を果たすPCや
ゲーム機といった端末であり、そこでOSを握っている
Microsoftには十分に勝機があると考えています。


仮に買収が成立したとして、MicrosoftYahoo!を単に
LiveやMSNの補完としての存在に終わらせてしまうか、
それともクライアント側のOSを握っているという強み
を生かし、検索やスタートページといったWebの基本的
なエクスペリエンスに革命を起こすことができるか?
それが、Microsoft vs Googleの今後の行く末を大きく
左右するのではないかと予想しています。