ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

クラウドコンピューティング第三回



第三回ではSOAとの関連について言及しています。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0811/05/news022.html


SOAは業務システムをサービス化(コンポーネント化)し、
それらを組み合わせることで、柔軟かつ俊敏な情報処理
システム構築を実現しようとする考え方です。
ですが、業務システムをサービス化する際の粒度を
ビジネス面と技術面の双方から考えなければならず
それを実践できるのは一部の大企業に限られていた
というのが実情ではないかと思います。


PaaSのようなクラウド基盤でシステムを構築する場合は
提供されている基盤に沿った実装をせざるを得ないので
結果的にある程度サービス化された状態となります。


SOAの場合はサービス化のための選択肢が多かったことが
逆にサービス化の実践を難しくしてしまったのではないかと
考えています。クラウド基盤を活用することによって、選択肢
が狭まるというデメリットを抱える一方、構築したシステムは
クラウド基盤が提供する様々な連携機能を享受できるように
なります。


つまり、SOAでいうところのESBに相当する部分をクラウド
基盤に任せるという意味で、アウトソーシングされたSOA
といえるのではないかというのが第三回の主旨です。
とはいっても現段階であらゆる業務システムをクラウド基盤
に移行するのはさすがに難しいといえます。クラウドの議論
では「ユーザ企業側に残るのはブラウザのみ」という状態を
想定したものが多いように感じますが、仮にそのような世界
が将来的に実現するにしても、過渡期においては自社内構築
クラウド基盤活用が並存する状態になるはずです。なので
クラウド基盤を活用する企業側が持つべき仕組みに関しても
考えておく必要があるのではないかと感じます。


連載の中でも触れましたが、特に重要なのはクラウド基盤との
接続部分をどうするか?という点です。企業側にはプロキシ
もしくは対向ルータみたいなものを配置し、データの流れの
適切なルーティング、冗長性、セキュリティ確保といった役割
を担うといった形を想像しています。


現時点ではクラウド基盤を提供する側のトピックに注目が
集まっていますが、その後にはクラウド基盤を活用する
企業側が持つべき上記のような仕組みをどうするかという
点に焦点が移っていくのではないかと予想しています。