ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

中堅・中小企業向けERP市場



「bizma!」にて中堅・中小企業向けERP市場
のインタビュー記事が掲載されています。
http://www.bizma.net/content/0905/78/


サーバなどのH/Wと比較すると、ERP市場
は経済不況による投資意欲減退の影響が
比較的軽微です。
ですが、その中身を詳細に見てみると、
現状維持のための支出が多くを占めて
いることがわかります。
パッケージ保守費用やカスタマイズ箇所
のサポート費用といった「削減できない
コスト」の負担が大きい状況なのです。


十分な予算がある企業ではリプレースを
図るという選択肢を取ることができます。
ですが、大半の中堅・中小企業は昨今の
不況の影響もあって、多少問題を抱えて
いても現状のシステムを使い続けざるを
得ない状態となっています。


とはいえ、組立製造業に見られるように
リプレースへの意欲を示している業種も
見られます。景気が回復し、IT投資意欲
が再び活発化したタイミングで、中堅・
中小企業市場でERPリプレースが活発化
する可能性はゼロではありません。


個別業務パッケージの組み合わせで対処を
してしまいがちな中堅・中小企業において
いかにして将来のERP普及のための布石を
打つべきか?
大企業で実績のあるソリューションを単に
下方展開するのではなく、中堅・中小企業
の事情を踏まえた戦略が求められる局面と
いえます。


例えば「個別に導入した会計システムと
販売システムの連携が取れず、業務効率
が低下している。何とかしたいが、現状
システムの維持費用負担が大きく、刷新
をすることも難しい」という悩みを持つ
中堅企業があったとします。


いきなりERPによるリプレースを提案しても、
この企業にはそれを実践するための予算を
確保することは困難です。
解決策の一つとしては、「データ層での連携
や統合を無理にせず、断絶した業務フローを
表示層での連携でカバーする」といった方法
が考えられます。もちろん、ベストな解決策
とはいえませんが、最小限のコストでユーザ
の抱える直近の問題を解決するという意味で
検討に値する施策ではないかと考えています。
そのような取組みによってユーザの業績改善
を支援し、投資の余力が出てきた段階で当初
ERPによるリプレースを提案するわけです。


ちょっと遠回りのようですが「まず、ユーザ
が投資できるだけの余力を作り出す」ことが
重要です。いきなり自社の商材を持ち出すの
ではなく、顧客支援を目的とした予備商材を
設けるという発想も重要なのではないかなと
思います。