ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

2009年秋冬のSMB短観



四半期毎に国内中堅・中小企業の
IT投資や業績に関する景況判断指数
を発表しています。


先日その最新版(秋冬版)をリリースしました。
http://www.norkresearch.co.jp/pdf/SMB09autumnwinter.pdf


各指数は依然マイナスであるものの、
5月から8月までは各年商帯/各業種
いずれも回復へと向かっていました。
ところが、12月には再び下降すると
いう大変厳しい状況になっています。


一方、ほぼ同時に出された日銀短観の景況判断指数では
9月時点と比較した中小企業の値は若干ではありますが
改善しています。


日銀短観調査が11月末のドバイショック以前に大半の
調査回収を終えていたのに対し、SMB短観は今回実施が
やや遅れ、アンケートの回収は12月初旬となりました。


その結果、SMB短観には急激な円高進行がより強く
織り込まれているといえます。このことが日銀短観
比較してSMB短観がより厳しい結果となった要因の
一つと考えられます。


一般的に大企業の業績回復が中堅・中小企業に伝播するまで
には時間を要しますが、少なくとも来年5月までは中堅・中小
企業におけるIT投資の大幅な回復は見込めないと推測されます。


一般的に大企業の業績回復が中堅・中小企業に伝播するには
時間がかかります。特に円高によって輸出産業の収益確保が
しづらい上に、デフレで内需も低迷している状況においては
下請けとなる中小企業への値下げ圧力を強めることで収益を
確保する動きが見られることもあります。こういった場合は
大企業と中堅・中小企業の業績回復時期がさらにずれること
になります。


また、中小企業法人税減税見送りや「中小企業投資促進税制」
「情報基盤強化税制」といった優遇措置の延長が見込み薄で
あることも、IT投資にとってはマイナスに働く要素です。


とはいっても、ITを活用してこうした状況を乗り切ろうとする
ニーズは確かに存在します。「今、何が求められているのか?」
についてファクトに基づいた的確な情報発信をするべく、自分
としても一層の努力が求められていると感じています。