ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

中堅・中小企業におけるモバイル端末活用実態調査報告



中堅・中小企業においてモバイル端末がどれくらい活用されて
いるのか?という観点での調査結果を発表しました。
http://www.norkresearch.co.jp/pdf/2010mobile.pdf


メールやグループウェアといった情報系と、SFA/CRMなどの
営業/顧客管理系の用途を中心として、比較的規模の小さな
ユーザ企業でもモバイル端末の活用には意欲的です。


そうした状況を受けて、ベンダにおいては自社の製品/サービス
スマートフォンに対応させる動きが活発化しています。実際、
スマートフォンの利用意向は中堅・中小企業全体で15〜30%程度
に達しており、ユーザ企業側の関心も高まっているようです。


ですが、既存の携帯電話やノートPCも含めたモバイル端末全体
で見れば、スマートフォンが主流となるにはまだ時間がかかり
そうです。実際、年商5億円未満のユーザ企業層では「既存の
携帯電話で業務システムを利用する」という回答も約30%存在
しています。こうした低年商帯のユーザ企業では業務での利用
が有効であることがわかっていても、スマートフォンを社員に
支給するのは費用面から難しいという実情もあります。


そう考えると、今後スマートフォンが業務用途において普及する
ためのカギは「一般消費者として誰もが普通に持てるようになる
こと」ではないかと考えています。既に社員が自分で持っている
端末を活用できるということがIT予算の限られた中堅・中小企業
においては非常に重要なポイントになるはずです。


しかしながら、現在のスマートフォンではおサイフケータイ
ワンセグiモードのようなキャリア独自のサービスなどを手軽
には使えない状況です。そのせいか、通常の携帯も併用されて
いる方を多く見かけるような気がします。一般の消費者が広く
メインの携帯電話としてスマートフォンを気軽に使えるように
なるにはもうしばらく時間がかかりそうです。


スマートフォンは通常の携帯と比べると既存製品/サービス側
での対応がしやすいといえます。ですが、そこで通常の携帯を
無視すると、ユーザ企業に受け入れられにくいソリューション
になってしまう恐れがあります。スマートフォンを持たない
社員の業務効率が変わらなければ、そこがボトルネックとなり
企業全体の業績改善効果が十分得られなくなるからです。


一般消費者向けにスマートフォンがある程度普及するまでは
通常の携帯も含めたモバイル端末活用を視野に入れて対応を
する必要があるのではないかと考えています。