ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

リッチクライアントのダークホース



リッチクライアントというとFlash/Biz Browser/Curlといったプラグインタイプ
のモジュールが注目されますが、実はAdobeが提供するPDFも以外と強力なソリュー
ションなのではないかと思っています。


同社は「Intelligent Document Platform」という名称で進化したPDFソリューシ
ョンを提供しています。特に注目なのはXDP(XML Data Package)というデータフォ
ーマットです。このデータパケットの中には従来のPDFに加えて、XMLデータ及び入
力検証などの実行コードを含めることができます。こうすることでサーバーや他シ
ステムとの連携に際しては可搬性のあるXMLデータを用い、入力検証などのリッチ
クライアント的な動作に際しては包含された実行コードを実行し、ユーザーの目に
は従来から慣れ親しんだPDFとして見えるというソリューションが実現できます。


つい最近、同社は「Adobe LiveCycle」というブランド名でIntelligent Document
Platform関連の製品群を統一し、さらにこのソリューションを推進していっていま
す。Yahooともツールバー関連で提携するなど、多方面での動きが活発化しています。


PDFが強力なのはユーザービリティを向上させたリッチクライアントとしてのニーズ
だけでなく、MS Office代替のニーズも満たす可能性がある点ではないでしょうか。
社内の稟議申請や清算業務にExcelやWordを利用している例は少なくないと思います。
ですが、良く考えてみると大多数のユーザーは決められたフォーマットに必要事項を
書き入れているだけで、MS Officeの持つ高度な編集機能を必要としているわけでは
ありません。編集可能なフォームを持つPDFを作成できるForm Designerの機能に加
え、XDPが実現する入力検証用コードの機能を使えば、ブラウザベースのリッチなUI
を実現したいというニーズとMS Officeのライセンス費を何とかしたいというニーズ
の両方を同時に満たすことができるケースも多々あるのではないかと推測しています。


開発言語とモジュールを提供するというスタンスのリッチクライアントソリューショ
ンとは違う角度の「ドキュメント主体」という観点でのリッチクライアントソリュー
ションということでAdobeの今後の動向にも注目していきたいと考えています。