日経コンピュータ11/15号の「SOA一歩目の踏み出し方」
という特集の中で「ボトムアップ型SOAアプローチ」に
ついて取り上げていただいています。
SOAというと経営視点、全社的視点でのアプローチを
取ることが多いのですが、中堅・中小企業ではそれを
実践するのが難しいという現状があります。
そこで、まずは卑近な業務課題を解決するには何が必要か?
という発想でSOAの端緒を掴んでみようというのがこの手法
のコンセプトです。
以下の三つのステップで構成されています。
ステップ1では実業務における様々な課題を技術的な
解決方法は横に置いてとにかく列挙していきます。
ステップ2では列挙された課題を解決策にマッピングしていきます。
「解決策マップ」は縦軸がシステム階層、横軸がSOAによる解決策と
なっています。
「システム階層」は
・プレゼンテーション層
・ビジネスロジック層
・インテグレーション層
・データ層
「SOAによる解決策」は
・連携
・制御(フロー管理、自動化)
・統合
・分散
・冗長化(耐障害性の強化)
から成っています。
例えば、「ユーザがコピー&ペーストで二つのシステム間を人手で
連携させている」(メールで受け取った注文を受注管理システムの
画面に転機しているなど)といった場合の解決策には
1. プレゼンテーション層による連携
2. ビジネスプロセス層による連携
といったものが考えられます。
一般的に一つの課題に対する解決策には何通りかの選択肢が存在します。
上記の課題でも解決策を講じる箇所はプレゼンテーション層とビジネス
プロセス層の少なくとも二箇所存在します。
このように課題を解決策マップにプロットしていくと、多くの課題に
共通する解決策が出てきます。そこを優先的に実施していくことで、
投資対効果の高い対策を講じることができます。
ステップ3では具体的な製品/技術の選択に入ります。1.であれば
エンタープライズマッシュアップ製品、2.であればBPMやESBなど
といった具合になります。
この過程の中にはSOAの名前の由来でもある「業務システムのサービス化」
が明示的には出てきません。ですが、ステップ2のマッピングで多くの課題
に共通する解決策が見つかったのであれば、その箇所はサービス化しておく
価値があることになります。
「サービス化」ということを最初から考えると難しくなりますが、
とりあえず卑近な業務課題を並べてみて、それらの解決策候補を
重ね合わせるという方法をとれば、サービス化の候補が見つかり
やすいだろうというのがこの手法の勘所といえます。
日経コンピュータの誌面では図解入りで解説が入っています。
ご一読いただけると大変嬉しいです。