ITアプリケーションのシェアと評価連続リリース、
本日は「クライアントPCセキュリティ」です。
http://www.norkresearch.co.jp/pdf/2010itap_security.pdf
市場シェアはトレンドマイクロ、シマンテック、マカフィーの
三社で80%に達しますが、今年も大きな変化はありませんでした。
ですが、クライアントPCセキュリティを取り巻く状況には二つ
の大きな変化があります。
一つはクラウドです。といっても、ユーザがこの変化に気づくこと
はほとんどないでしょう。パターンファイルの多くをクラウド上に
配置する、検査対象のシグニチャをクラウドに送信して評価すると
いったようにマルウェア対策の処理を実行する場所としてクラウド
が新たに加わるようになっています。
商流的には既に年契約でのサブスクリプションが珍しくない同市場
ですが、今後はさらにサービス色が強くなっていくと予想されます。
ただ、大手三社がこうしたサービス化に追随できなくなる可能性は
非常に低いので、この変化がシェアに及ぼす影響は少ないでしょう。
二つ目は「クライアントPCセキュリティ」というカテゴリ自体の
カバレッジの変化です。この調査では主にマルウェア対策製品/
サービスを「クライアントPCセキュリティ」と位置付けています。
ですが、広い意味ではUSBデバイス制御や不正アプリケーションの
利用禁止などもクライアントPCセキュリティの範疇です。実際に
今回の調査対象となる製品/サービスの上位エディションにはそう
した機能を持つものもあります。一方、「PC運用管理/資産管理」
の製品/サービスにもUSBデバイス制御や不正アプリケーションの
利用禁止を備えるものが数多くあり、むしろそうした機能は必須
といっても良いくらいです。このように異なるカテゴリ間で機能
の重複が出てきています。
逆に「ログオンパスワードの長さを強制したい」といったポリシー
制御についてはシマンテックの「Control Compliance Suite」(旧:
Symantec Enterprise Security Manager)といったように別製品に
なっていることが多いように感じます。
このようにPCにおけるセキュリティ対策といっても「マルウェア
対策」「資産管理/運用管理」「ポリシー制御」とアプローチが
複数存在し、それぞれが微妙に重なったりしているのが現状です。
セキュリティにおいては網羅性が重要ですが、本当の意味で
ユーザがワンストップで安心して任せられるソリューション
はまだ登場していないといえるのかも知れません。こうした
「セキュリティ関連のカテゴリ自体の変化」は今後のシェア
のあり方にも影響を与えることになるかも知れないと考えて
います。
Tweet