ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

BEAのポータル戦略を見て思ったこと



企業情報ポータル(EIP)に関連してのBEA Systemsの動きが
活発なようです。Compoze Softwareに引き続き、つい先日
はポータル大手のPlumtreeを買収しました。


Compoze Softwareの買収についてはJSR-168に準拠した
表示層レベルでのポートレット統合を充実させることが
主な目的のようですが、注目すべきなのはPlumtree買収
の際に同社が掲げている
「コラボレーション&トランザクションポータル
という考え方です。


従来のポータルはどちらかと言えば「見る」ことが主体の
閲覧系のシステムとしての性格が強かったかと思います。
ですが、ポータルを本格利用しようとすれば、当然ながら
データの入力・編集といった操作が伴ってきます。すると
必然的に他者ないしは他社と意思疎通をする「コラボレー
ション」や処理の整合性を維持するための「トランザクシ
ョン」といったものが必要になってきます。


これら「コラボレーション」や「トランザクション」は
いずれも一つのポータル内で完結するものではなく、複数
のポータルをまたがって実行されることになるでしょう。
つまり、『一つのポータルの中に情報を集めてみせる』と
いう段階から、『複数のポータルに跨って情報共有や情報
生成を行なう』という段階に進化してきている兆しなのでは
ないかと捉えています。


実際、BEAがPlumtreeに着目した一つの理由はPlumtree
Javaと.NETの二つのプラットフォームをサポートしている
点にあります。これも複数ポータル間の連携を意識しての
ことではないかと考えています。


独立系EAIベンダーが大手APサーバーベンダーに買収され、
EAIというものがAPサーバーの一機能として取り込まれて
きているように、EIPというものも徐々にAPサーバー内に
統合されていくのかも知れません。


ただし、EAIに関してはその本来の機能がミドルウエア的
な性格を持つためにAPサーバーに完全に吸収されてしまい
やすいですが、EIPについては必ずしもそうとは言えない
部分もあります。


むしろSOAが普及し、技術的にはJBIなどによってサービスを
提供ないしは利用するサービスコンポーネントと土台となる
ESBとの区分けがきちんと整備されれば、プレゼンテーション
層としてのEIPやコラボレーションの部分で個々のベンダーが
標準仕様に従った互換性を保ちつつ、機能面やユーザビリティ
などで差別化を図って切磋琢磨するという状況が実現するかも
知れません。個人的にはそれが理想的な状態と考えています。

(もっとも、現時点ではBEAはIBMと同様にJBI仕様には賛同して
いませんが...SunはJBIに積極的で、早くもオープンソース実装
の提供を開始したりもしています。これは歓迎すべき動きですね)


以上をまとめると、
・ポータルは情報を「見る」ものから「生成」するものへと進化し
 コラボレーションポータルやトランザクションポータルといった
 ものが出現してくる
・単独のポータルにポートレットを集積するだけでなく、複数の
 ポータルに跨ったトランザクションを処理する仕組みが必要に
 なってくる
・JBIなどの基盤技術によってSOAが整備されれば、ポータルは
 SOAにおける一つのサービスコンポーネントに位置付けられ、
 標準仕様に準拠しつつ、機能面やユーザービリティ面で差別化
 を図った様々なプロダクトが出現してくる
といったことが予想されるのではないかと考えています。