ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

の利用実態とユーザ評価



「メール」に関する利用実態(社数ベースのシェア
や運用形態、端末形態など)とユーザ評価に関する
調査報告をリリースしました。


http://www.norkresearch.co.jp/pdf/2011itapp_em_rel.pdf


グループウェアでは新規導入における「Google Apps」の存在感が
増してきましたが、メールではまだ同様のことは起きていません。


メールは普及度合いも高く、同じ企業内でも個人毎に使うツールが
異なるといった状況もITガバナンスが強くない中堅・中小企業では
少なからず存在します。そのため起業や新規の部門設置においても
「慣れ」の障壁が強く働きやすいと考えられます。


この「慣れ」ですが、メールは
・より高機能な無償の代替手段が存在している(FirefoxGmailなど)
ISPが提供するメールサービスにはWebメールが付属しているものもあり、
実質的にメールデータを外に預けた状態となっていることもある。
 そのため「データを外に出したくない」という懸念に対する説得の策を
 他の業務システムと比べれば見出しやすい
・RFC822やMIMEといった標準フォーマットがあることから、メールシステム
 のデータ移行は他の業務システムと比べてはるかに容易
といった好条件が整っているにも関わらず、現状維持志向が
非常に強いというのが実情です。


例えば、
 「このメールシステムは検索機能が優れていて、これを使えば
  一日当たり5分、御社の社員数では年間で200万円のコスト
  削減効果が得られます。」
というセールストークをしても、
 「でも、その新しい機能を社員が覚えるまでに時間がかかって
  かえってコストがかさむんじゃない?」
と切り返されるといった感じです。「ヒト」の要素も加味すると
高機能で不慣れなものより、機能は低くても使い慣れた方が逆に
効率は良いということなのだろうと理解しています。


この「慣れ」の障壁を上回る利便性を提供するものとしては
スマートフォンが考えられますが、BYODを容認すべきなのか、
その際のリスクは何か?など考えるべきことは多そうです。


いずれにしても、リリースのタイトルに記載したように
端末側の変化なども加味して今後の動向を見据えていく
必要があると考えています。