ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

xfy technology



ジャストシステムが複合的なXML文書を自在に編集できるテクノロジー
である「xfy technology」を発表し、話題になっています。


well-formedなXML文書をツリー上に表示して簡単な編集をするという
レベルであれば、一般的なXMLエディタでもクリアしていますが、xfy
technologyの場合はXSLTを拡張したVCD(Vocabulary Connection
Descriptor)というスクリプトで柔軟なビュー作成ができます。単なる
ビューだけでなく、特定のノードの編集や削除の処理をメニューやコマ
ンドに割り付けることもできるようで、独自の複合XML文書に即した
専用エディタを手軽に作ることができるという点が大きな特徴だと認識
しています。


一太郎の延長線上として文書エディタとしての位置付けであれば、これで
十分なのですが、複数のデータソースから様々な形式のデータを収集して
それを一画面で表示させたいといったニーズではアクセス制御に関する考
慮が必要になってくると思われます。こうしたニーズは「ビジネスコクピ
ット」と呼ばれることもあり、BIの発展として経営層を主な利用対象とし
て今後ホットな話題になりそうな分野です。


具体的にはXML文書の中のある特定のノードについてはある特定のユーザー
に対してだけ見えるようにする必要があるということになります。VCDを
使えば実装できそうな機能ではありますが、VCD自身もXML文書本体に付随
する「データ」であることには変わりません。つまり、「誰にどんなVCDを
配布すべきか?」という問題は依然として残ります。結局のところ、xfy
technology自体は「文書データ」については如何なる形式でも編集が可能
ですが、アクセス制御については何らかのサービスやポリシー記述言語と
組み合わせる必要があることになるかと思います。


そうしたポリシー記述の標準的な方法としてはSAMLやXACMLといったものが
あります。xfy technologyとこれらの仕様をサポートしたプロビジョニング
サーバーを連携させるAPIのような手段が提供されれば、ビジネスシーンでの
xfy technologyの活用方法の幅も広がるのではないかと考えています。


XMLは何でも表現ができるので、全ての情報をXML文書に包含させることが
できるように思いがちですが、そのXML文書自体のアクセス制御情報をそれ
自身に含めることはできません。そう考えると、ビジネスシーンでの利用
においては「XML文書」とそれを操作する「ビュー」だけでは不完全であり
アクセス制御のようなデータのメタ情報を管理/取得するための「サービス」
が別途必要になるというのが一般的なスキームであるような気がします。