ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

幾何学でイメージする



ポートフォリオによる分散投資などを検討
する場合には相関係数が重要になります。


例えば、銘柄AのN年間の年次リターンを
a1,a2, .... , aN
銘柄BのN年間の年次リターンを
b1,b2, ....., bN
とし、それぞれの平均をAvg(A)、Avg(B)
とします。
(年次リターンは『(当年平均株価÷前年平均株価)-1』で定義)
さらにそれぞれの年次リターンの標準偏差をσ(A)、σ(B)とすると
相関係数ρは
ρ = [{(a1-Avg(A))×(b1-Avg(B))+ ... +(aN-Avg(A))×(bN-Avg(B))}÷N]÷[(σ(A)×σ(B)])
となります。


この式だけ見ると、何だかワケわかりませんが
これを幾何学的に置き換えて見ると意味がはっ
きりしてきます。


a1, a2,.... ,aNをN次元空間の点と考え、平均値Avg(A)
からの差分の組(a1-Avg(A), .... , aN-Avg(A))をN次元
のベクトルV(a)と考えます。
同様に(b1-Avg(B), .... , bN-Avg(B))をベクトルV(b)
と考えます。
そうすると上記の相関係数の式のうち、
[{(a1-Avg(A))×(b1-Avg(B))+ ... +(aN-Avg(A))×(bN-Avg(B))}÷N]
の部分(共分散)は
V(a)とV(b)の内積÷N
となります。
一方で、標準偏差σ(A)の定義は
σ(A)の2剰 = [{(a1-Avg(A))×(a1-Avg(A))+ ... +(aN-Avg(A))×(aN-Avg(A))}÷N]
となるので、V(a)とV(b)の長さをそれぞれ|V(a)|、|V(b)|と表せば
σ(A)×σ(B) = [|V(a)|×|V(b)|]÷N
となります。


結局のところ、
ρ = V(a)とV(b)の内積 ÷ (|V(a)|×|V(b)|)
となります。
これは2つのベクトルV(a)とV(b)のなす角のコサイン(cos)の値に他なりません。
cosの値とベクトルのなす角の関係は

コサインの値2つのベクトルのなす角イメージ
10度(同じ向き)→→
090度↑→
-1180度(反対向き)←→
となります。
相関係数は一般に0の時は互いに関係が無く、1のときは同じ変化の方向で強い
相関を持ち、-1の時には逆の変換の方向で強い相関を持つとされますが、これ
を2つのベクトルのなす角でイメージすると良くわかります。相関係数が0の場
合は互いになす角が直角ですので関連性がないと見なすわけですね。 1の場合
は全く同じ向きで一致しているので同じ変化の方向を持った相関があると考え
るのは自然ですし、-1は正反対の向きなので逆の変化の方向を持った相関があ
ると考えるのも納得がいきます。


このように数値的な事柄を幾何学の世界に置き換えると理解がスムースになっ
たりすることがあります。こう考えるとベクトルって結構便利だったりします。