ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

ポイズンピル



来年の新会社法施行に供えて、あれこれ勉強している今日この頃な
のですが、昨今のライブドアニッポン放送M&A劇でも取り上げ
られた「ポイズンピル」という言葉の使われ方がちょっと気になり
ました。


USでは「ライツプラン」という呼び方が一般的のようです。
あらかじめ既存の全株式に対してある条件下においてある
条件で株式を取得できる権利(Lights)を与えておくという
ものです。


例えば、ある会社が敵対的買収を目的としたTOBを仕掛けたとすると
条項に定めておいたライツが一定期間経過後に発動し、TOBを仕掛け
た会社以外の株主は時価よりも格安の価額でTOBを仕掛けられた会社
の株式を取得できるといったことができます。 「解毒」をするため
にはTOBを仕掛けられた会社の取締役会がキャンセルする必要があり
ます。必然的にTOBを仕掛けた会社は買収対象の会社との対話をせざ
るを得なくなります。 実際、ライツが発動する前に何らかの決着が
ついてしまうケースが多いようです。


そうなるとニッポン放送が用いた手法はいわば「後出しジャンケン
ポイズンピル」ともいうべきもので、厳密な意味でのポイズンピ
ルとは異なるように感じます。そもそも、日本の場合は株式に新株
予約権を付与するという仕組みはないので、いわゆるライツプラン
と全く同じ形でのポイズンピルを実践することは現時点では難しい
のではないかと思います。


ですが、このあたりについても新会社法施行に伴っていろいろと案
出しや議論がされているそうなので、似たような手法が日本でも可
能になるかも知れません。


それと、OracleがPeople Softを買収しようとした際に買収成立後
に解雇された従業員に対して多額の退職金を支払うという条項をあ
らかじめ定めておくという対策が取り上げられました。これをポイ
ズンピルと読んでいた記事があったように記憶していますが、これ
は「ティンパラシュート」というのが一般的な呼び方のようです。
同じことを経営陣に対して行なう場合は「ゴールデンパラシュート
」と呼んで区別しています。ゴールデンパラシュートはちょっと考
えるとネガティブな対策のように思えてしまいますが、友好的な買
収があった場合にプラスに働くこともあるように思います。経営陣
に問題があり、それを是正するための友好的な買収があったとした
場合、通常であれば現経営陣は自身の保身に走って買収を阻止しよ
うとします。ですが、ゴールデンパラシュートによって個人の経済
的な安全が確保されていれば、本当に会社のために取るべき選択は
どちらなのかを客観的に考えることができます。ゴールデンパラシ
ュートにはそういった意味も含まれているように感じます。そうい
った意味でも従業員に対するティンパラシュートとは明確に用語と
して区別されていると個人的には理解しています。


いろいろな用語が出てきて頭が痛くなってきますが、技術の勉強と
はまた違った面白さ(?)はありますので新鮮な感じはしています。