ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

メールをTwitterに変えることはスパム解決になるか



メールはスパムで溢れ返っているので
もうメールを使うのはやめて、Twitter
のようなツールに乗り換えようという
議論を見かけることがあります。


確かにメッセージを送信するために
同一サービス内にアカウント作成が
必要なTwitterと、それらが不要な
メールを比べてみるとメールの方が
スパム行為をより容易に行うことが
できるのは確かです。


ですが、どちらも「自分の連絡先が
わかってしまえば、相手からの一方
的なコンタクトを許してしまう」と
いう点では同じです。


Twitterも一方的に「Follow」される
ことがありますし、そうしたスパム
行為を想定しているから「Protect」
の機能を備えているのだと思います。
おそらくTwitterも利用者の裾野が
さらに広がれば、頻繁に「Protect」
の設定を行わなければならなくなる
のではないかと予想しています。


結局のところ、個々人が「自分に対して
コンタクトを許すアカウント情報一覧」
を手軽に扱える仕組みが必要だという点
が議論の本質なのではないでしょうか。


そうした「マイコンタクトリスト」が
Web上でセキュアに保持されていて、
メール、Twitter、その他のアプリから
それらを参照してコンタクトの可否を
チェックできるというのが理想です。


最近言われ始めていますが、OpenID
ようなアカウント管理の仕組みと一緒
にそうした「マイコンタクトリスト」
も標準化されていくとスムースですね。


最大の問題は「どうやってマイコンタクト
リストのメンテを手軽にするか?」です。
スパム的なアプローチで来たものに対して
後手で拒否リストに追加するというのでは
今と大差ありません。ホワイトリスト的な
観点で先手を打つ必要があります。


自分にコンタクトすることを許可したい相手
SNSで検索可能な場合は手間も掛からない
ので問題はさほど大きくなさそうです。
実際に困るのはビジネスの場面でしょう。
商談などで複数人と名刺のやりとりした場合
それ以後のメールのやりとりがその中の誰と
されるかは決められないので、名刺を貰った
全員をホワイトリストに登録する必要が出て
しまいます。
これについては近い将来に電子名刺が携帯
に組み込まれるようになって、挨拶の時に
「ピピッ」とやると、互いのマイコンタクト
リストに登録される、みたいなことができる
ような世の中になるのではないかと個人的に
期待しています。


スパム対策の根本的な解決方法を考える際には
「メールかTwitterか?」というメッセージング
ツール選択の問題ではなく、「マイコンタクト
リストの利便性、セキュリティ、標準化を如何
実現するか?」というメッセージングだけに
限定されない広い観点での議論をする必要が
あるように思います。