ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

中小企業のためのSFA



中小企業がSFAを導入しようとする際の最大の障壁は
営業マンが営業報告などのデータエントリをやらなく
なってしまうことではないかと思います。


「各案件の進捗状況を把握できる」というのは管理者側の
メリットです。現場の営業マンからすれば自らのノウハウ
をわざわざ時間を費やして公開するようなものですから、
余程のインセンティブがない限りは継続させるのは難しい
でしょう。


そういった背景を踏まえて、各社のSFA製品は「いかに営業
報告を書くことへの負担を軽減するか?」という点に工夫を
凝らしているようです。


サイボウズの「サイボウズドットセールス」はスケジューラ
の延長とて入力できることをアピールしています。訪問時に
何らかの予定入力は必ずするわけですから、それに関連して
営業報告も入力するという流れを作れば、多忙な営業マンも
受け入れてくれるはずというコンセプトと理解しています。


NTTPCコミュニケーションズの「Master's ONE」はブログの
足あと機能を応用し、上司が部下の営業報告を閲覧すると
足あとが付くようになっています。
部下からすれば、上司にきちんと見てもらっていることは
モチベーション維持につながります。上司の側もコメント
という形で閲覧の証拠を残さなければならない従来製品と
比べると負担が軽くなります。


SFAにブログ感覚を持ち込む」という発想は意外とうまく作用
するような気がします。ボク自身も案件管理にブログを使って
みたことがありますが、くだけた表現を書きやすくすることで、
顧客のダイレクトな反応や商談のリアルな感触が伝わりやすい
という効果があったように感じます。


そう考えると、SFAを検討している企業が「自社にはSFAが必要か」
を判断する際には「はてなグループ」をまずは使ってみるのが良い
かも知れません。


日記(ブログ)に加えてスケジューラとタスク管理、掲示板が備わって
おり、有償オプションを選択すればファイル共有もできます。企業で
利用するには非公開のプライベートモードにすることは必須なので、
完全に無償とはいきませんが、製品購入に比べればはるかに手軽です。
はてなダイアリーと同様にキーワードによって各ブログ(営業報告)
が結びつきますので、これをうまく活用すれば社内のナレッジ共有に
かなり有効に使える可能性を秘めていそうです。


とはいっても、レポーティング機能はありませんし、携帯電話からの
利用もできませんので、本格的にSFAとして活用するには当然ながら
機能が不足しています。ですが、自社にとってSFAが必要か、必要なら
どういったタイプのものが適しているか、ということを検討する際の
土台としては十分に使えるのではないかと思います。


実際に本格的なSFA導入を検討する際には以下のポイントが重要になる
かと思います。


導入の目的もしくは現状の課題
 ・リード数を拡大したいのか?
 ・個々の案件の成約率を向上させたいのか?
 ・情報共有によって営業活動の効率化を上げたいのか?


アプリケーションの性格
 ・全社的なCRMの一部としての営業用フロントエンドとしてのSFA製品
   (導入検討や運用のリードはマーケ部門や経営層が執ることが多い)
 ・SFA特化型製品
   (営業部門が部署内導入という形で運用することが多い)


運用の形態
 ・パッケージを購入して自社内で運用
 ・SaaSASPといったオンデマンド型サービスを利用


良くありがちな失敗は
 経営的にはリード数を増やして売り上げの底上げを狙いたいのに、
 導入検討を営業部門のマネージャに任せてしまったために営業部内
 の管理効率を上げるための情報共有型のSFA製品を購入してしまう
といったケースです。


いきなり本格運用を開始するのではなく、自社の抱える課題や
情報システムの運用方針などを考えつつ、手軽なツールや商用
製品のお試し版を試験的に運用してみて、自社の文化に合った
選択肢を探すことが大事ではないかと思います。