ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

2012年春の中堅・中小企業における業績/IT投資に関する定点観測調査



経常利益DI/IT投資DIいずれも改善していますが、
年商や業績による傾向の違いに注意が必要です。 
http://www.norkresearch.co.jp/pdf/2012QRspr_rel.pdf.pdf


例えば、加工製造業では「ニーズに即した商材
の取捨選択」によって経常利益が改善しており、
さらにそうした取り組みに向けたIT活用意欲が
見られます。


一方、小売業でも経常利益は改善していますが
人件費などの固定費削減効果に負う面が大きく
IT活用についても、現状維持志向が強い傾向が
あります。小売業における人件費削減は短期的
には業績を改善する効果も期待できるのですが、
中長期的には


 正社員を減らし、パート/アルバイトを増やす
 ⇒
 顧客対応や商品陳列における工夫といった面
 でのレベルが低下する
 ⇒
 収益が悪化する
 ⇒
 業務改善に取り組める正社員の採用/教育に
 必要なコストを捻出できなくなる
 ⇒
 パート/アルバイトへの依存度がさらに高まる


といった悪循環が生じる恐れも多々あります。


商品点数を絞らないまま価格を下げると剥離多売と
なります。パート/アルバイトにとっては多数の商品
を扱うという業務負担が増す一方で待遇は変わらない
ためにモチベーションが下がります。結果的に離職率
や欠勤率が上昇し、人材確保にも苦慮することになる
可能性も否定できません。


一方、店舗毎の売れ筋を把握し、店長が自身の
判断で品揃えを臨機応変に変更できる仕組みを
整えることにより、薄利多売の商材を不必要に
増やすことなく、絞られた商材を限られた人数
の正社員で効率的に販売/管理するなどといった
取り組み例も見られます。


ユーザ企業自身が気づいていない業務上の課題を
指摘することが、現状維持志向を打破する有効な
取り組みの一つではないかと考えています。