ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

ユーザビリティとH/W



サイボウズさんがMVNOとしてWillcomと提携したと
いうニュースをご存知の方も多いかと思います。


「誰でもカンタンに使えるソフトウェア」を目指し
顧客の利便性を第一に考えて、その実現ためにH/W
まで視野を広げて、自社製端末の提供(「ボウズフ
ォン」として話題になりましたね^^)まで取り組む
という姿勢は素晴らしいと思います。


そこであらためて思ったのが、「ユーザビリティ
H/Wを無視しては実現できない」ということです。


ソフトウェアの観点でユーザービリティを考えると
どうしてもGUI画面上の操作性に視点がいきます。
ですが、実際にはH/W(特に入力系デバイス)の存在
はユーザービリティと密接に関わっています。


例えば、リッチクライアントの特徴として引き合いに
出されることの多いドラッグ&ドロップですが、マウス
以外のタッチパッドポインティングスティックだと
うまくできないこともあるかと思います。
(ボクはスティックがどうにも苦手です)


ブロードバンドが整うにつれて、PCを利用する場面も
広がってきます。それに応じて様々な入力デバイス
持ったPCが登場してくるでしょう。「Origami」など
はその典型例かと思います。


そうなってくると、キーボード+マウスを暗黙の前提
とすることも難しくなってきます。H/Wも含めた広い
意味でのユーザービリティを考慮して、ソフトウェア
を設計する必要が出てくるように思います。


サイボウズさんのように自社で端末側も供給すれば、
ソフトからハードまで一貫性のあるユーザビリティ
実現できます。H/Wも含めたユーザービリティを達成
する手段の一つとして、こうした「垂直統合」も有力
ベンダーを中心に今後行なわれてくるかと思います。
(というか、MicrosoftはすでにMedia Center PCや
Tablet PCなどでH/Wベンダーと共同でこうした試み
をしていますね)


ではボクも含めた一般のソフトウェア開発者が直近で
できることは何かと考えると、身近な家電にヒントを
得るというのが手軽にできることかと思います。
秋葉原に行ったときにはいつも店頭のマルチメディア
パソコンをいじるのですが、どの機種も各メーカーが
工夫を凝らしたサブOSみたいなものが入っています。
Web閲覧や手短なメール送受信くらいなら、リモコン
で操作ができます。
まさに「マニュアル要らず」を実現しており、とても
勉強になります。(あまり熱心になりすぎると、警備
のお兄ちゃんにマークされたりしますが....)


ユーザービリティというと海外での著名な論文といった
基礎理論的な部分が着目されることが多いです。勿論、
こうした普遍的な研究成果をしっかり踏まえることは
とても重要であり、必要なことだと思います。ですが、
一方で「どんなインターフェースが快適か?」という
ことはユーザーが日頃から見慣れているモノの影響を
多少なりとも受けるはずです。ですので、基礎理論に
プラスして、ユーザーが日頃触れている家電製品など
からヒントを得ることは意味あることと考えています。


ユーザービリティはソフトの中のGUI画面だけでなく、
ハードの入力デバイスなど広い視点で捉え、家電など
も含めたユーザーの日常を取り巻くいろいろなモノも
考慮に入れて練っていかないといけないなぁと改めて
思いました。