TechTargetでのシンクライアント連載
第二回がアップされました。
http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/0810/31/news01.html
今回はシンクライアント実現方式と
ビジネスニーズとのマッピング及び
ユーザ側の意識調査結果について
取り上げています。
従来のシンクライアント方式では
クライアントPC側、サーバ側双方に
何らかのハードウェア投資が必要に
なるケースが多く、中堅・中小企業
にとってはそれが導入のネックに
なっていました。
バーチャルシンクライアントは比較的
そういった意味でのコストが低くすむ
方式なので、同方式の今後の発展には
期待しています。
バーチャルシンクライアントは実現方式も
様々で、ここに深入りすると混乱するので
連載の中では詳細には触れませんでした。
特にデスクトップやアプリの配信による
仮想化技術はバーチャルシンクライアント
の中でも比較的大掛かりなもので、ネット
ブート型と混乱しやすい面があります。
Microsoftを例にとると、デスクトップに
ついてはMED-V(Microsoft Enterprise
Desktop Virtualization)、アプリの方は
App-Vが配信による仮想化技術に該当します。
前者は買収したKidaroの技術、後者は
以前はSoftGridと呼ばれていたもので
特に後者は聞き覚えのある方もいるか
と思います。
デスクトップやアプリを必要となる各種
モジュールも一緒にパッケージングし、
適切な権限制御の元、クライアントPCへ
配信するというのが基本コンセプトです。
MED-Vがネットブート型シンクライアントと
異なるのは複数OSをシームレスに並行稼動
できる点です。
古いOSでしか動かないアプリがあった時でも
古いOSのデスクトップは表示せず、その上で
動くアプリのウィンドウのみを通常のOS上に
表示させるといったことができるようです。
App-Vはアプリが必要とするDLLなどの共通
モジュールも含めてパッケージング化し、
アプリを完全に隔離した状態にした上で、
クライアントPC上で稼動させるものです。
ですので、クライアントPCのリソースを
最大限活用でき、配信するデータサイズも
必要最小限に抑えることができます。必要
があれば、同じアプリの異なるバージョン
を同時に利用することもできるわけです。
MED-VもApp-Vも異種環境を同時に混在できる
という点が大きな強みといえるかと思います。
バーチャルシンクライアントはソフトウェア
レベルでの実現方式ですので、セキュリティ
の確保や細やかな権限制御(実行するアプリ
の制限など)が課題となります。その点では
OSを握っているMicrosoftは有利な位置にいる
といえるでしょう。
「MED-VやApp-Vが日本の中堅・中小企業に受け入れられるのか?」
というトピックは
「Active Directoryの利用率が日本の中堅・中小企業で加速するか?」
ということとも密接に関連してくるはずです。
MED-VやApp-VがきっかけになってADが普及するか、あるいは
ADがネックになって、MED-VやApp-Vではないピンポイントな
バーチャルクライアントソリューションが普及していくか?
さらにサーバ側の仮想化など他の要素やクライアントOSの状況
も密接にかかわってきます。実際、当時のSoftGridはVistaの
UAC(User Account Control)下で管理者権限ログオンを動作
の前提としているアプリをコストをかけずに利用する方法と
して注目されていたという経緯もあります。
いずれにしても、シンクライアントやデスクトップ仮想化
の今後を考えるにあたってはMED-VやApp-Vは要チェックと
いえるかと思います。