ゆーたんのつぶやき

株式会社ノークリサーチにてIT関連のシニアアナリストとして活動しています。

GoogleとYahoo!のここ最近の動き



年始めでもあるので、表題の件について
ちょこっとまとめてみました。ポイント
として大きく三つ挙げてみました。


WebメールSNSの基盤に】


やはり、両者にとってFacebookは衝撃だったと思います。
SNSは無視できない要素になっており、それを一般消費者
に活用させようとした場合には使いなれたWebメールのUI
をベースにするというのはごく自然な発想です。


[Google]
 自前のOrkutが放置状態である一方で、OpenSocial
 よってMySpaceなど既存の大手SNSサービスと連携する
 ことで影響力を広げようという戦略かと思います。
 ですが、現時点ではGMailSNSを結びつける具体的な
 サービス像は明示されておらず、近いうちに何らかの
 発表がされるのではないかと予想しています。


[Yahoo!]
 CESにてYahoo Mailの後継となるYahoo Life!(以前は
 Inbox2.0と呼ばれていたもの)をJerry Yang自ら紹介
 していました。
 SNSでの結びつきの強さに応じてメールを並び替えたり、
 買収したZimbraのマッシュアップ機能を駆使し、メール
 相手のプロフィールや地図情報と連動したり等といった
 デモを実演していました。


現時点ではYahoo!グループYahoo!オークションといった
土壌を自前で持ち、Zimbraという具体的なマッシュアップ
ツールを持つYahoo!が一歩リードといった印象を受けます。
ですが、Googleが驚異的な開発スピードで新たなWebメール
プラットフォームを出してくる可能性もあるので、油断は
できません。


【モバイルプラットフォーム】


[Google]
 OHAを設立し、Linux/Javaベースの開発プラットフォームで
 ある「Android」をリリースしています。今後、Symbianとの
 激突も予想されます。日本ではJavaを積極的に推進している
 DoCoMoやメールや検索で提携関係にあるKDDIが参加しており
 キャリア主導の日本市場では重要なプレイヤーの一角となる
 ことは間違いないかと思われます。

[Yahoo!]
 「Yahoo! Go for Mobile」の後継となる「Yahoo! Go 3.0」が
 CESにて発表されました。XML/HTMLベースで手軽に開発可能な
 開発プラットフォーム「Yahoo! Mobile Developer Platform」
 を提供していくとのことです。また、MyYahooのモバイル版と
 言っても良いパーソナライズドホーム機能も持っています。


それぞれの開発プラットフォームがどれだけクリエイティブな
開発者層に受け入れられるか?が勝負の分かれ目かと思います。
Javaのスキルが要求されるが、キャリアが後押ししているOHA/
Androidか、XML/HTMLで手軽に開発できるYahoo! Go 3.0か、と
いったところです。Yahoo! Go 3.0は日本ではまだ試すことが
できないのですが、ACCESSが既に参加を表明している点を考慮
すると、国内サービス開始時点での対応端末の幅は広そうです。


【パーソナライズドホーム】


[Google]
 柔軟かつクールなテーマ設定が受けてシェアを伸ばしてきている
 iGoogleですが、他ポータル製品がGoogle Gadgetに対応しており
 WebベースGadgetにおける実質的なベンチマークとしての地位を
 徐々に確立しつつあるように感じます。Google Gadgetは手軽に
 開発/テスト/公開ができるので、今後もWebベースのGadgetでは
 重要な位置づけを維持するものと予想しています。Webベースで
 あることによって多様なデバイスへ展開しやすいのも強みです。
 iPhone版のiGoogleの発表などはその具体例といえるでしょう。


[Yahoo!]
 買収したKonfabulatorの技術に基づく「Yahoo! Widget」ベース
 のMyYahoo!ですが、パーソナライズドホームとしては古くから
 存在している定番ともいえます。何といってもオークションが
 カレンダーやメッセンジャーと連携できる点が強みで、デスク
 トップにインストールする形式のメリットをフル活用している
 といえるかと思います。デスクトップを活用している分だけ、
 携帯端末などへの展開は課題となってきます。


手軽さから来る勢いはiGoogle(Google Gadget)にありそうですが、
より高度なことをしようとすれば、デスクトップとの連携は不可避
であり、Webの制約を如何に克服するかが課題になってくるものと
思われます。
AdobeGoogleが提携して、AIRベースのGoogle Gadgetを開発する
プラットフォームが提供されたりすると面白いかも知れませんね。
一方のYahooはGoogleとは逆にPC上で実現している各サービス間の
緊密な連携をモバイルでどう実現するか、PCとモバイル間の整合性
を如何に保つかが課題になってきそうです。
Webから始まり、デスクトップへのアクセスが課題になるであろう
Googleと、デスクトップから始まって今後はモバイルとの整合性が
課題になるであろうYahoo!という構図で、今後も目が離せません。


ということで、三つのポイントに絞ってざっと整理をしてみました。
変化が激しいトピックでもあるので、また折に触れてレビューする
ようにしていきます。